ただぼんやりと海外に行くのはダメ?タイ留学とCRプログラムで私が見つけたもの
よしふじです。
以前こんなツイートをしたことがあるんですけど、
留学したいとか
— ぱなこ💐クィアで陰キャなWDW元キャスト🏳️🌈 (@bettyhannahm) 2020年7月5日
海外で働いてみたいとか言うと、
なんで?とか
日本の方が居心地良いじゃんとか
兎に角なぜ?と聞かれることが多くて。
その度にしっかり考えてみるんだけど、
どうにも要約すると
Comfort Zoneを出てみたい
ということにしか結論付かない。
今回は留学してみたいとか、海外で働いてみたいということに明確な理由やきっちりとした目標が必要なのかということについて書いてみたいと思います。
私は大学時代にタイに交換留学して、社会人になってからCRプログラムでアメリカでの就労・生活を経験しました。いずれも達成したか数値で表れるような明確な目標はなく行ってしまったのですが、結果として行く前になんとなく心の中にあった「こういう経験がしたい!!」ということは叶えられる結果になりました。
昔ほど海外に出ることへのハードルが下がって、留学に行くことも珍しくなくなった今、目的無しの留学はただ遊んで帰ってくるだけになって意味ないとか、留学するならちゃんと目標設定するべきとか言われることが多いと思います。
正直私はこの、目的無しの留学は良くないみたいな考えに非常に悩まされたというか、一歩踏み出すことを躊躇わされたようなところがあります。どうして私は海外に行ってみたいんだろう?と何度も考えました。
目的無しの留学は良くないというのも確かにその通りではあるのですが、個人的には何も決めずに行くとか、はっきりとしてない、ぼんやりした目標だけで海外に行ってみることだって悪くはないと思うんですよね。
大学の交換留学なんてよっぽど勉強したい分野が留学先の大学にある、とか、こんな研究をするといったことでない限り「異文化を肌で感じる、日本語じゃない言語で知識を得たり議論する経験を得る」ぐらいのざっくりとした目的、目標ぐらいしか持ちようがないと思うのです。期間も短いですし。
海外に出ることの良い側面って、自分にとっての当たり前が誰にとってもそうとは限らない、ということを知ることが出来ることだと思うんです。自分の中の常識を疑う良い機会というか。
良いアイディアを出すためには自分の中の常識を疑えとか、考えが凝り固まらないように批判的な視点を身につけろってよく巷で言われますけど、「自分の中の常識を疑う」って簡単に言うようで実はかなり難しいことだと思うんです。だってそれをするためには、疑う対象が「自分の中の常識だ」ということに気付かなきゃいけないんですから。
誰しも自分が当たり前だと思っていることが他人には受け入れ難い事実であるかも知れないということを信じたくはないと思うんです。例えば、そーだな…私で言うと、タイに留学したことでタイのイメージを二度裏切られたんですよ。
私それまでタイに旅行ですら行ったことなくて。留学で渡泰する時=初めてタイに足を踏み入れた時だったんです。行く前のタイのイメージは高校の図書室で借りて読んだ「闇の子どもたち」(児童売買春についての、フィクションの小説。映画化もされています)の貧困が広がっていて治安の悪いイメージでした。
実はタイへの留学は、学内交換留学の選考で英語圏の大学たちに落ちて二次募集のアジア圏の大学への応募を考えていた時に母が勧めてきたのがきっかけでもあったんです。母は旅行好きで、今のバンコクがどんなに近代化、開発されててキレイで若者が多くて勢いがあるかと言うことを力説されて、それで私も色々調べて興味を持ったので行くことにしました。
実際に行ってみたら確かにバンコク中心部はキレイなショッピングセンターが立ち並び、電車移動もシンプル&スムーズ、車内もキレイ。一方少し路地に入ると道が整備されてなかったり昔ながらの店があったり、その頃は大学までの高架鉄道も建設中だったため冷房無しのローカルバスに乗ってバンコク中心部から大学まで移動したりとモダンと昔ながらを同時に味わうことの出来る魅力的な都市がバンコク、それがタイのイメージでした。
こうしてタイのイメージが危ない、貧困というところから実際に行ったことによって目覚ましい発展を今現在この目で見ることの出来る国というイメージに変わりました。
しかしこのイメージも正月のカーラシン旅行でちょっと覆ることになります。私が住んでいたところはそのエリアの高級コンドミニアムでした。家賃は日本円換算で月3万程度でしたが、そこに住んでいたのは欧米系の留学生かお金持ちのタイ人学生です。そのコンドミニアムのオーナーさんがとても良くしてくれていて、彼女が正月に「私の実家がある田舎に遊びに来ないか」と言ってくれたのです。
二つ返事で着いて行くことにした私ですが、日本でも東京生まれ東京育ちの私はそのタイの田舎の田舎度合いに非常に面食らいました。まるで世界ウルルン滞在記に出てくるような平家家屋に屋外キッチン、小アリが大量発生するバスルームにあっついお湯と水が分かれて出てくるシャワー。近くにお店は何もなく、夜になると外は真っ暗です。
オーナーさんのご両親はとても歓迎してくれて、暖かい人たちでした。農業で生計を立てる自給自足の生活で、娘であるオーナーはちょくちょく帰省して仕送りのお金を渡したり必要なものを車で持っていってあげているようでした。
私はそんなカーラシンの生活を見て、バンコクだけを見てその国を知った気になっていたことを反省しました。バンコクに全てが集中しすぎているだけで地方はまだまだ整備されていないところもあり、それだからこその良さや不便さがあるのです。
このような経験はしようと思って出来るものでもないと思います。もちろん、最初からタイ国内の都市部と農村部の経済格差に目を付けてその取材に行くという目的を持って能動的に行く人だっていると思います。でもその行動力の動機にはきっとその人が別の場所で偶然的に出会った何かしらのきっかけがあるはずです。その偶然の出会いを増やすための行動としての留学の立ち位置ってあっても良いのでは無いかと思います。
それ以外にもタイで得たものってたくさんあって、そのどれもが交換留学を志した当初に行きたかったアメリカやイギリスやカナダといった英語圏では得ることの出来なかったものだろうなと思っています。
例えば日本とは違う上座部仏教を信仰するタイ人の信仰スタイルや寺院、タイ語を学ぶことで得た新たな言語を学び使うことへの喜び、何より私の中にあったアメリカンファーストバイアスを疑うきっかけになったこと(海外経験が少ない日本人は陥りがちなバイアスだと思っている)。
英語でコミュニケートする際も相手の大半が英語は第一言語では無いので、自分の喋る英語が不完全だろうと知ってる表現でとにかく喋るという癖が付きました。これが周りがネイティブだらけだったら私の性格的に萎縮してしまっていたような気がします。
そのような感じでタイでたくさんのものを持ち帰って、アメリカ第一主義みたいなバイアスも抜けたつもりではいたのですが、やっぱり英語圏長期滞在への憧れは捨てきれない、客室乗務員への憧れもある、ということでCRプログラムへ参加することにしました。
CRプログラムでは英語を使って働く経験や接客スキルを身に着けることを通して本当にキャビンアテンダントを目指したいのか決める期間にしようと思って臨みました。
前にも書いたのですが、キャビンアテンダントを目指すかどうかということについては渡米後2ヶ月弱で「目指さない」という方向に決着がついてしまいました。しかしプログラムでは平均年齢の若いチームで働くことの大変さと楽しさ、忙しい現場を回していくことで仕事に対するスピード意識の向上など渡米前には予想していなかった経験を積むことが出来ました。
こうして振り返ってみると、海外に出る前にもちろんざっくりとした感じで目標とか目的みたいなものは立てるんですけど、実際に持ち帰るものって行く前に予想していなかったことが大半なんですよね。
そして予想外のものを手に入れた時の特別感は、予想通りのものを手に入れた時よりも大きかったりします。
私、会社を辞めてCRプログラムに行くと前の会社に伝えた時、役員の方に言われたんです。
「海外に行くっていうのは自分の可能性見つけるには一番手っ取り早いもんな、わかるよ」と。
自分なりにたくさん考えて、次のビジョンも想定して決断したことだったのに、役員の言葉には若者的な感じで見切り発車で行動して、と茶化されたような気がしてとても腑に落ちない気分でした。
しかし今思えば「海外行くのは自分の可能性見つけるには一番手っ取り早い方法」というのは中々的を得ているような気もします。
別に海外行ったからといって必ずしも自分の可能性が見つかるわけでは無いですが、自分の知らない環境に飛び込むことで偶然の出会いが増えるのです。人との出会いに限らず、知らなかった文化や風習やビジネスといったことも含めて。
実際海外に行って色々行動してみたことでそれまでの自分が知らなかったことを知れたし、それらの経験がこれからの方向性を考えるヒントにもなっています。
こんなご時世だから中々難しいですが、少しでも海外に興味のある人が二の足を踏まずに留学とか海外就職に挑戦できたり、海外云々に限らず後先考えずやってみたいことにどんどん挑戦出来る、そんな人が増えると良いなと思っています◎
本当はタイ留学とCRプログラムで得たものについてもっと深く掘り下げたかったんですけど、長くなってしまったので別記事にまた書きたいと思います。
今回もお読みいただき、ありがとうございました!
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